Mar 20, 2012

春の便り

実家から、いかなごの釘煮が届いた。
関西育ちの私にとって、いつの間にかこの釘煮は、春の訪れを教えてくれるものになっている。
我が家では、"いかなごの季節"と呼んでいるこの季節。
いつもの様に学校から帰ってくると、家の玄関前から、醤油とザラメの甘い香りがぷんぷんしていて、味見係の私は、テーブルの上にきれいに並べられたいかなご達を少しずつ味見し、ひとことふたこと感想を言う。
「この硬さいいね」とか「今回はまだちょっと小さいね」とか。
"いかなごの季節"の、ひそやかな恒例行事。

ちなみに我が家の釘煮の特徴は、
ピンッと固く張っていて、いわゆる釘みたい。
甘すぎず、辛すぎず、ご飯がすすむ。
送られてきたものは、全て完璧な出来だった。

東京の玄関前に立っても春の香りはしてこない。
その代わり、冷蔵庫の中にたくさん詰まっている。
小さな頃には気付かなかった、母親の愛も一緒に。




1 comment:

  1. まり。母の愛は偉大だね。
    まりの文章でなみだがでそうになったよ。
    ありがとう。

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